「軍艦島」論争 歴史評価…愛国主義刺激 – 毎日新聞

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映画「軍艦島」のポスター。「1945年、地獄島軍艦島 そこに朝鮮人たちがいた」と書かれている=CJエンタテインメント提供



 【ソウル大貫智子】長崎県・端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)を舞台にした韓国映画「軍艦島」が7月末に韓国で公開され大ヒットになる一方で、内容を巡って論争が起きている。テーマは日本統治時代の朝鮮人強制連行。歴史を知る上でプラスとの評価もあるが、史実と異なる朝鮮人の集団脱出という場面も盛り込まれており、むやみに愛国主義を刺激するとの批判も強い。

 軍艦島は「明治日本の産業革命遺産」として2015年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。映画は、軍艦島に連行された朝鮮人が炭鉱労働者として過酷な環境で働かされる中、抗日活動家が潜入し、朝鮮人を船で集団脱出に成功させるという内容だ。

 監督は、刑事と財閥の戦いを描いた大ヒット映画「ベテラン」(15年)で知られる柳昇完(リュ・スンワン)さん。主演俳優のファン・ジョンミンさんのほか、蘇志燮(ソ・ジソプ)さん(43)、宋仲基(ソン・ジュンギ)さんといった韓国を代表するスターが勢ぞろいし、製作費260億ウォン(約25億円)の超大作だ。上映館数が多いこともあって、7月26日の公開から2週間足らずの今月6日、観客動員数は600万人を突破した。

 韓国メディアは評価が二分。革新系には肯定的な報道もあり、その一つの京郷新聞は、軍艦島に連行された男性が映画を鑑賞し「良い映画だ」と話したと伝えた。一方、映画には朝鮮人への敵意をむき出しにする日本人が多数登場するなど「あまりに分かりやすい反日映画」(東亜日報)との批判もある。

 実際に鑑賞した市民からも厳しい意見がある。会社員のソ・ミンヨンさん(34)は「歴史的事実が持つメッセージや問題意識より、アクションや『脱出記』という印象で中途半端だった。途中でトイレに出る人も多かった」と酷評する。

 また会社員の金美理(キム・ミリ)さん(40)は「忘れられた歴史を知ることができて良かったという人も多いが、最近は、愛国心をあまりに強調する映画は、作品としての評価が下がるという見方がある」と話す。

 韓国ではここ数年、日本統治からの解放を祝う8月15日の「光復節」を前に日本関連の映画が大ヒットする傾向がある。豊臣秀吉の朝鮮出兵に一矢報いた李舜臣(イ・スンシン)将軍を描いた「鳴梁(ミョンリャン)」(14年)の観客動員数は歴代最高の約1761万人に達した。また、日本統治時代の独立運動活動家のアクション映画「暗殺」は、15年の観客動員数2位の約1270万人を記録した。

 日韓などの映画研究が専門の立教大の李香鎮(イ・ヒャンジン)教授は「日本統治時代の映画が大ヒットするようになったのは、日韓関係が悪化した安倍晋三、朴槿恵(パク・クネ)両政権発足後から」と指摘。朴前大統領が日本との国交正常化を実現した父、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の名誉回復に注力したことが反発を呼び、日本統治時代に日本に協力した朝鮮人の問題が再浮上したという。李教授は「映画は、歴史問題を清算できていない韓国社会を反映している」と分析した。







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