写真通して息子カミーロが伝える父チェ・ゲバラの“アイ” 今も世界が求めるリーダー像(夕刊フジ)

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 50年前、一人の男が南米ボリビアで銃殺された。キューバ革命の英雄と呼ばれ、不平等のない世界を夢見て戦い続けた革命家、チェ・ゲバラだ。その波瀾万丈の人生に魅せられ、支持する声はいまなお多い。

 「政治家としてキューバに残る道があったにも関わらず、不平等に苦しむ人たちを助けるために生涯をささげたことがポイントでしょう。チェは勉強家で、人に優しく、自分自身と規律には厳しい人物でした。今でも世界中が求めているリーダー像なのではないでしょうか」

 こう語るのは、ゲバラの長男、カミーロ・ゲバラ氏だ。キューバで「チェ・ゲバラ研究所」の企画・プロモーション事業に携わり、ゲバラが撮影した写真の日本初展示が実現したことから、初来日した。

 「当時の彼の状況や思想を知る上で、写真はとても重要なものだといえるでしょう。日本の皆さんが、写真を通して父の人生をたどってもらえたらと思います。父は自分が訪れる国のことは事前に学び、カメラで撮影したら自ら現像して、その写真からまた多くのことを学びました」

 撮りためた写真の中には、広島の平和記念公園の風景もある。キューバ使節団の団長として来日した際に撮影したものだ。原爆投下がもたらした惨劇に衝撃を受けたというエピソードはよく知られている。

 「誰でも原爆がもたらした現実を目にすればショックを受けると思います。父にとっても、平和の重要性について考える大きなきっかけになったそうです」

 父との思い出は決して多くはない。ゲバラは1966年、ボリビアに入国。翌年、政府軍と戦闘を繰り広げ、処刑された。そのときまだ5歳だった。

 「父の死を私自身がどう感じたのかは、はっきりとは覚えていません。父は私が3歳のときにコンゴで1年間を過ごし、帰ってきたときも変装をしていました。所在が漏れないようにするためです。そのため、私に『お父さんだよ』とは言えず、私も父だと分かりませんでした。その後ボリビアに渡り、そこで命を落とすことになるのです」

 自身は3人の娘を持つ。「父親として、娘たちのいい見本でありたいと願っています。難しいことですけどね」と目を細めつつ、「大きな責任のある身だった父も、私たちの将来には深く関わりたいと考えていたそうです。私も父とはもっと触れ合う機会を持ちたかった」。

 では、キューバの未来への思いは?

 「厳しい状況下だとは思いますが、社会的、経済的に今よりも発展していってほしい。ただ、何よりもまずは平和を願っています」

 これまで政治家になろうと思ったことは…と聞くと、「ありませんね。興味がないんです」と笑顔で返し、「これからも父の人生・思想を掘り下げる仕事を続けていきます」。

 一途なまなざしが父親と似ていた。(ペン・磯西賢、カメラ・酒巻俊介)   

 ■カミーロ・ゲバラ 1962年5月20日、キューバ共和国出身。55歳。国立ハバナ大学法学部卒業後、弁護士に。現在はチェ・ゲバラ研究所で父の生涯を伝えるさまざまなプロジェクトに携わっている。

 写真展『写真家チェ・ゲバラが見た世界』は、恵比寿ガーデンプレイス内のザ・ガーデンルーム(東京都目黒区)で9日から27日まで。ゲバラが世界各地で撮影した約240点を展示する。10月6日には、ゲバラと行動をともにした日系ボリビア人の姿を描いた映画「エルネスト」(主演・オダギリジョー、監督・阪本順治)が公開される。






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