極めて優秀な「チーム金正恩」 至高の目標は“金王朝体制のサバイバル”(夕刊フジ)

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 【世界政治のキーマン】

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を過小評価してはいけない。2011年に最高指導者となってからの行動を見ると、彼個人の能力はともかく、「チーム金正恩」は極めて優秀である。至高の目標は「金王朝体制のサバイバル」であり、そのために、あらゆる手段を合理的に駆使している。

 金正日(キム・ジョンイル)総書記が3人の息子のうち、正恩氏を後継者に指名したのは、最も「胆力」に優れていたからだそうだ。「予測不可能な独裁者」であるということ自体が、北朝鮮の交渉力になるのだ。「チーム金正恩」は、金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺など、合理的で冷徹な戦略と戦術を着々と、実行している。

 正恩氏は、米本土に届く核ミサイルを完成した時点で、対米交渉を開始し、休戦条約を平和条約に格上げして、金王朝のサバイバルを確実にする腹だろう。それまでは、米国はもとより、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の南北対話の呼びかけなどは、歯牙にもかけぬはずだ。経済制裁は効力がなく、拉致問題解決の見通しは暗い。

 韓国の文大統領は7月17日、南北会談の呼びかけを行ったが、完全に無視された。ある意味、その返答が同月28日深夜の北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)発射だった。

 「親北・従北」の文氏も、さすがにショックは隠しきれず、翌29日未明、拒絶していた米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備を容認した。

 それでは、北朝鮮が韓国や米軍に先制攻撃をするかといえば、可能性は「ほぼゼロ」である。世界最強の米軍に、本格的な対北攻撃を行わせるような口実は与えない、というのが北の戦略の基本である。威嚇はするが挑発はしないのだ。

 それでは、米国側が北朝鮮を先制攻撃する可能性はあるだろうか。ゼロではないが、私は可能性は低いとみる。

 トランプ政権の第1の目標は「米国経済の立て直し」である。朝鮮半島で戦争となれば、過剰な財政支出を強いられ、米国内でのインフラ再整備などの経済再活性化は不可能になってしまう。

 加えて、対北朝鮮攻撃を行うには、中国の事前了解が必要になる。経済問題や南シナ海問題で中国に強い姿勢で迫ることができなくなるのだ。

 CIAのマイク・ポンペオ長官は、正恩氏排除のための秘密工作も有り得ることを示唆したが、レックス・ティラーソン国務長官はあくまで話し合い路線を強調し、ジェームズ・マティス国防長官も大規模な軍事オプションは有り得ないと発言している。(国際政治学者・藤井厳喜)






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