「中国の中国による中国のための」一帯一路、実現は難しくとも“実行”は可能 – 産経ニュース

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 5年に1度の中国共産党大会が18日に開幕するのと前後して、北朝鮮が再びミサイル実験を強行するとして緊張を高めている。この5月14日、北京で開催した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際協力サミットフォーラム開幕日にも、北は中距離弾道ミサイル「火星12」を発射して中国に冷や水を浴びせていた。

 北は中国の重要イベントを気遣う様子がない。むしろ、中国が対北制裁決議で米国と歩調を合わせていることが気に入らない。

 「一帯一路」構想は習近平国家主席肝煎りの国家プロジェクトで、共産党大会で称揚される政策の肝である。だからこそ、習政権は5月のミサイル実験には、はらわたが煮えくり返っただろう。なにしろ、フォーラムには130カ国以上が代表を送り、29カ国の首脳が参加するという国際的な晴れの舞台だった。

 それは隆盛を誇った古代中国の華夷秩序を連想させ、海と陸の2つのルートで欧州とつなぐ巨大経済圏の構築を狙う。西側で参加した国はもちろん、派生する分け前にありつきたいがためだろう。

 北朝鮮とは逆に、わが日本のNHKは党大会前の14日、一帯一路に沿った「“西へ”14億人の奔流」として、躍動する「巨龍中国」のドキュメンタリーで盛り上げた。

 構想は、海のシルクロードである「路」と陸のシルクロードである「帯」を売り込み、これを一体化して米国をしのぐような超大国を目指すと考えられている。

 NHKは陸の大陸横断鉄道を取り上げ、中国の食と石油を支えるカザフスタン、中国製品の中継地点ポーランド、そして欧州連合(EU)の盟主ドイツを取り上げ、中国商人の活躍を描いた。

 しかし、番組には何かが足りない。古代と同じでシルクロードの構想は、単にインフラ建設や貿易だけではないはずだ。そこには、中国のエネルギー安全保障や覇権的な対米競争心が強く意識されている。

 ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授によれば中国は古い地政学的思考に傾斜しており、「周辺国を巻き込む19世紀のグレートゲームが復活する」と周辺との摩擦を警告する(ウェブ誌「China-US Focus」)。

 米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など多国間協議から離脱するタイミングで、習政権は一帯一路構想を受け皿に勢力圏の拡大を目指す。インフラ投資も製品輸出の拡大も、シルクロードで栄えた時代のように西へと翼を広げている。

 始まりは2013年9月、中央アジア歴訪中のカザフスタンでの講演で、習主席は「シルクロード経済ベルト」構想に言及していた。その翌月には、東南アジア歴訪中にインドネシアで「21世紀海上シルクロード」構想を公表し、やがて合体する。

 構想は口でいうほど透明性には遠く、「中国の中国による中国のための」である。スリランカでは港湾建設をめぐって地元で政治的な反発も起きている。いつもの通りなら、中国の特権階級の私腹を肥やすだろう。

 もちろん中国は資金力を誇る日本にも秋波を送る。多くの中国企業には、不採算事業を手伝わされるとの警戒感があるが、そこはトップダウンの国だから、実現は難しくとも実行はできる。中国共産党大会後も目が離せない。(東京特派員)






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