中国、習氏の動画に拍手競うスマホゲームも 急速な権威付け、にじむ焦り(西日本新聞)

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 中国の新指導部発足から一夜明けた26日、笑みをたたえる習近平総書記(国家主席)の写真が共産党機関紙、人民日報の1面を飾った。その大きさは紙面の半分近い。江沢民元総書記や胡錦濤前総書記の指導部発足を伝える過去の報道と比べると、破格の扱いだ。

⇒【画像】1973年当時の習近平氏 15歳から窯洞で暮らし、肉体労働に励んでいた

 党大会期間中、北京市内の公園には習氏を褒めたたえる歌を熱唱する中高年グループが出現。習氏の演説動画が流れる間に拍手ボタンを何回押せたかを競うスマホゲームも登場した。

「実績不足」指導者としての焦りも

 習氏は党大会で、自らの名前を冠した思想を党規約に明記し、歴史的地位を得た。中国メディアは最近、建国以来の歴史を「立ち上がり、豊かになり、強くなる」と三つの時期に分けるキャンペーンを展開中だ。それぞれの段階を代表する指導者を毛沢東、〓小平氏、習氏と位置付け、習思想は今後の「強国」時代を導く理論だとしている。

 〓氏以降の「豊かになる路線」に区切りを付け、「強くなる路線」へと転換した「新時代の指導者」。国を挙げて習氏をたたえる様子には、自らの権威付けを推し進めたい習氏の思惑が透けて見える。

 毛、〓氏に比べ「実績不足」とされる習氏。急速な権威付けには指導者としての焦りもにじむ。

 習氏の強国路線は、経済成長の鈍化や貧富の格差などで膨らみ続ける庶民の不満のはけ口をナショナリズムに求めたものとも言え、危うさをはらむ。「社会主義現代化強国」の実現をうたう習思想には、「強国」へ至る具体的な道筋は示されず、威勢の良いスローガンばかりが目立つ。

 人権活動や市民運動を締め付ける姿勢は、党大会前後に一層強まった。北京の人権派弁護士、余文生氏は党大会初日の18日、インターネット上で習氏の罷免を求める書簡を公表し「歴史の潮流に逆らい、強権支配を強めた。(総書記)留任はふさわしくない」と訴えた。だがその夜に当局から拘束され、釈放された19日以降、メディアの取材を受けることやネット上での政治的発言を禁じられた。

 習思想は政治、軍、経済、学術界に党の指導を堅持するよう求めている。今後、社会統制がさらに厳しくなるのは間違いない。

 世界2位の経済力を背景に国際社会への影響力を強める中国。習氏は党大会で、今世紀半ばまでに「中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立つ」と宣言した。しかし、自由や民主主義の価値を否定したままでは、世界を主導する存在にはなれない。“大国”への歩みは足元を見つめ直すことから始めなければならない。
※〓は「登」に「おおざと」

=2017/10/27付 西日本新聞朝刊=

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