安倍首相は、この国を守れるか? 文在寅韓国大統領との差 『山田厚史の地球は丸くない』第104回 – ニュース屋台村

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「アメリカにこれほどへつらう必要があるのだろうか。横田基地から入ってくる大統領の態度も失礼きわまりない」

来日したトランプ米大統領に対する安倍政権の度を超えた接遇ぶりを友人と嘆いていたら、今週発売の週刊新潮が、全く同じ見解の記事を載せていた。

「安倍総理はトランプ父娘の靴を舐めたか」と見出しは刺激的で、リードには

「安倍晋三総理(63)の掲げる金看板が『戦後レジームからの脱却』であることは説明するまでもない。だが今回、紛う方なき日本の国土で繰り広げられた光景は、米国のご機嫌取りという選後レジュームそのものに映り……」とあった。

保守派の人も首脳会談に投影された日米関係の現実を悲しい思いで見ていたようだ。

◆空転した?トランプの思惑

横田基地のトランプ大統領に、厚木に降り立ったマッカーサー将軍が二重写しになった。日本は今なお占領下。そんな思いが湧き上がる数々のシーンを見せられた安倍・トランプ会談だった。

共同記者会見では、中国の台頭を視野にオーストラリア、インドへとつながる日米豪印の国家連携が強調された。火種を抱える日米通商問題も話題となった。だがいずれも首脳会談を飾る添え物でしかない。

トランプがやって来たのは北朝鮮に圧力を掛けるためだ。属国である日本・韓国を従え、北京の習近平に北朝鮮のミサイル開発を抑え込むことを依頼しに来たのである。

思惑は空転したように見える。習近平は要請に正面から向き合わなかった。北朝鮮と米国の関係は「話し合い」で、という従来の方針から出なかった。代わりに米国製品を大量に買い付ける経済協力を前面に出し、うわべの協力関係を演出した。

軍事圧力を高めて北朝鮮を追い詰めようとしたトランプの作戦は不発に終わり、安倍首相との蜜月ぶりだけが異様に映った。

「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」という北を脅すトランプ大統領に安倍首相は同調している。

「あらゆる選択肢」には、武力攻撃で金正恩を抹殺する選択もある。空母から発進した戦闘機が平壌の中枢部や核施設などを攻撃し破壊し尽す、という軍事作戦である。この軍事オプションの可能性が高まってる、と専門家は見ている。

攻撃されたら北朝鮮は反撃する。米国にミサイルはまだ届かない。狙われるのは韓国や日本の米軍基地、ソウル・東京だろう。「あらゆる選択肢」の中には東京が核攻撃される可能性さえある。

◆「日米関係は親密なほどいい」外交常識が揺らいでいる

指導者の使命は国民の生命財産を守ること。戦争に巻き込まれることを防ぐことがだ。「武力攻撃だけは避けてほしい」となぜ安倍首相は言えないのだろう。
韓国の文在寅大統領は「対話路線」を強調した。アメリカが軍事作戦に踏み切る場合は事前に連絡をしてくれ、と釘を刺した。

戦争になってもアメリカ本土は攻撃されない。ミサイルが飛んでくるのは自分たちの街だ。アメリカと韓国は事情が違う。だから対処方針は違って当然。アメリカと親しいことと付き従うことは別というのが韓国の立場だ。アメリカにモノ申すのは政治リーダーとして当然の態度である。

そうした韓国を日本の外務省は「米日韓の足並みを乱す」と批判的だ。日本と韓国が米国と結束できなければ北朝鮮が喜ぶだけ。中国を動かすことさえできない、というのである。

米朝が軍事衝突することがあるとすれば、それは米国が仕掛ける時だろう。北朝鮮は戦争を仕掛ければ殲滅(せんめつ)されることが分かっている。自分から手を出すことはしないだろう。

米国は、国際紛争を武力で解決する国である。敵対する国は容赦なく攻撃する。アフガニスタンでもイラクでも軍を派遣して制圧した。北朝鮮はいつ攻撃されるか心配でたまらないと思う。攻撃されたらソウルや東京を火の海にすると息巻いているのは、怖くてたまらないからだろう。

北朝鮮が核を開発し、米国まで届くミサイルの開発を急いでいるのは、米国の攻撃から自国を護るためだ。攻撃されたら米国に核ミサイルを撃つ、という脅しで攻撃を回避しようとしている。

米国は冷静に対処するなら、ミサイル開発を断念させる代わりに北朝鮮の政権を認める、という交渉はあるだろう。ただ北は一筋縄でいく相手ではない。ミサイルを諦めさせ平和条約を結ぶまで乗り越えるべき障害は少なくない。それをトランプは辛抱できるか。

トランプの側には問題はたくさんある。足元でロシア疑惑が広がっている。政権の致命傷になりかねない。政治的に追い込まれた時、一発逆転を狙って軍事オプションを選択しかねない。予測不能とも思える気質から、とっぴな行動をとる恐れのある人物だ。

日本では金正恩が危険視されているが、戦争の引き金を引きかねないのはトランプ側という見る専門家は少なくない。

世界は、そんなトランプを警戒し距離を置いている。週刊新潮さえ安倍のお追従ぶりを問題にした。北は厄介な隣人だが、対峙(たいじ)するトランプはもっと危険だ。日米関係は親密なほどいい、という外交常識が今や揺らいでいる。

「この国を守る」という安倍首相が、この国を危うくする。そんな心配を感じさせた首脳外交だった。






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