習近平がトランプに呑ませた「スーパー・ビッグディール」の中身 – 現代ビジネス

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そして北朝鮮空爆は「延期」された…

「2017年11月9日」の歴史的意義

2017年11月9日は、「習近平外交勝利の日」として、中国外交史に刻み込まれるに違いない。

それは第一に、「これからはアメリカに伍していける」と確信を持った日としてである。

1979年のアメリカとの国交正常化以来、中国はアメリカに対して、コンプレックスを抱き続けてきた。それが初めて氷解したのは、2008年の北京オリンピックの成功によってだった。それから10年近くを経て、今回のトランプ大統領の訪中で、少なくともアジアにおいてはアメリカに伍していけると、確信を持ったのである。

第二に、習近平主席が、「ユーラシア大陸に覇を唱えた日」として。「今後のユーラシアは中国が牽引していく」と、アメリカに認めさせ、アジアに感じさせ、「一帯一路」という中国のユーラシア大陸戦略を推進していけると自信を持った日であった。

第三に、中国国内において、ますます習近平主席の権威付けに成功した日として。中国では、「外交は内政の延長」だが、習近平主席にとって、先月の第19回共産党大会が権威付けの第一弾なら、トランプ大統領の訪中は第二弾だったというわけだ。

このように、習近平政権にとって大きな意味と意義を持った「11月9日」を、詳細に振り返ってみたい。

〔PHOTO〕gettyimages

長時間にわたる会談

この日、朝8時ごろ、トランプ大統領は、宿泊先の建国門にあるザ・セント・レジス北京を出発した。

1997年創業のアメリカ資本のホテルで、創業時には北京で最も高級な「6つ星ホテル」と称された。これまでクリントン、ブッシュJr.、オバマと3代の大統領も宿泊している。今回は、258部屋すべてを貸し切りにして、トランプ大統領夫妻は最上階200㎡のプレジデンシャルルームに宿泊した。

中国の武装警察が、ホテルの周囲に金網を張り巡らすという厳戒態勢を敷いた。私は2009年にオバマ大統領が訪中した時、北京に住んでいて、このホテルの2階にあった日本文化センターに用事があって行ったが、今回ほどの警備はしていなかった。

トランプ大統領が人民大会堂前に着くと、儀仗隊による歓迎式典が行われた。こうした儀式が好きな首脳と好きでない首脳がいるが、トランプ大統領と習近平主席は、共に大好きである。赤絨毯の折り返しの地点では、トランプ大統領が習近平主席の背中に右手を当ててエスコートしていた。

そんな両首脳による米中首脳会談は、朝9時から人民大会堂で始まった。アメリカ側の要望で、まずは少人数の会談を、約2時間10分にわたって行った。

トランプ大統領は、『トランプ自伝』(邦訳はちくま文庫)で「商談は10分以内に済ます」と明言しているように、長時間の会談が大嫌いだ。実際、この2日前に東京の迎賓館で開かれた安倍晋三首相との日米首脳会談も、わずか33分で切り上げてしまった。

ところが、習近平主席との会談だけは例外なのである。いや、もう一人、プーチン大統領との会談も長い。それだけ中ロとは真剣勝負だということだろう。

米中少人数会談の後、人数を拡大した会談に移った。その時、マスコミに公開された両首脳の冒頭発言は、以下の通りだ。

〔PHOTO〕gettyimages

習近平: 「昨日午後からいままで、中米関係と重要課題において、二人で突っ込んだ意見交換を行い、多くの共通認識に至った。中米関係は両国の国民、また世界の平和と安定、繁栄にとって重要であり、協調だけが将来にとっての価値ある選択肢だということだ。それは朝鮮半島の核問題、アフガニスタン問題、それに他の主要な国際問題、地域の問題についても同様だ。

いまや中米関係は新たなスタート台に立った。中国は、互利互恵の精神で、双方の相違点をうまくコントロールしながら、アメリカとの協力を拡大していく準備ができている」

トランプ: 「中米関係という主題ほど重要なものは他にないと言える。昨晩の会合は、この上なく素晴らしいものだった。

ディナーは20分か25分で済ませた。というのも、われわれはいろいろと回ったし、素晴らしいあなた(習近平主席)が、『食事はさっさと済まそう』と言ったからだ。そこで、あなたの美しい夫人とメラニアとの時間を楽しんだのだ。われわれの関係は素晴らしいもので、実際、そのことはすでに証明されている。

今朝のこの両国代表による会談は、エクセレントだった。北朝鮮について話し合い、それには解決の道があり、あなたがやってくれると確信した。貿易問題についても話し合い、アメリカ政府が本気で政策を変えるということも分かってもらえた。

私はあなたをとても尊重する。それはあなたが、中国を代表しているからだ。(アメリカの)過去の政権が、(対中貿易赤字が)こうなるまで放置していたのが悪すぎたのだ。それを私は、フェアなものにしていく。

私のあなたに対する感情は、とても温かいものだ。あなたとは素晴らしくケミストリーが合う。だから今後、非常に多くのことを、中米両国のためにしていけると思う。あなたとここにいられて、本当に、本当に嬉しい。本当に感謝する。

今朝の儀仗隊によるパレードは圧巻で、世界が目にしただろう。これほど美しいものはない。

とても温かいもてなしに感謝する。そして友情の成功と、両国の問題だけでなく世界の問題、大きな危機と安全保障の問題の解決に向けて、共に取り組んでいくこれからの長い年月を、楽しみにしている」

まだ米中首脳会談の最中だというのに、トランプ大統領の高揚感が際立っている。






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