キッシンジャーがつなぐ米中関係と史上最悪の中朝関係 | オピニオンの … – Viewpoint

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 米国ではオバマ政権の最後、2016年に米議会は北朝鮮と取引する企業を対象とする制裁強化法案を可決させ、北朝鮮の核開発やマネーロンダリング等を幇助する、在米の中国系企業とその責任者の摘発を始めていた。つまり、米朝関係が緊迫するその〝予兆〟は、米大統領選最中にすでにあったのだ。同年5月、トランプ候補は、「私は金正恩と会うことに何の問題もない。大統領になったら、北朝鮮から核兵器を取り上げる交渉をする」とも公言していた。

 そもそも、北朝鮮に大きな圧力をかけることを密約していたのはヘンリー・キッシンジャー元国務長官と習近平国家主席だったとされる。遡ること46年前の1971年10月、共和党のリチャード・ニクソン大統領の密使として北京を2度、極秘訪問したキッシンジャー米大統領特別補佐官は、以来、米中和解の道筋をつけた超大物として、今日に至るまで君臨し続けている。日本として気になるのは、キッシンジャーは親中・嫌日であることだ……。

ヘンリー・キッシンジャー氏 (写真は2009年当時、Wikipediaより)

ヘンリー・キッシンジャー氏
(写真は2009年当時、Wikipediaより)

 中国は、鄧小平時代からの人民解放軍系企業が兵器や麻薬の密輸など非合法ビジネスを含め、対外ビジネスに積極的に参入していった。中国マネーと中国利権において、早々にターゲットとなった1組がクリントン夫妻だった。人民解放軍系企業から、クリントン夫妻への贈賄や民主党への政治献金などでパイプ役を務めたのは、当初はインドネシア系華僑などだったが、いつしか政界や行政にまで、中国マネーとスパイ組織が根深く食い込む〝チメリカ〟状態と化していった。

 90年代のクリントン政権は、「アジアの不安定要素は日本。米中両国は緊密に協力して、日本を抑えつけておくべき」と確信し、「米政府は、中国の軍拡政策に反対すべきではない」との考えで一致していたという。これは、1971年のキッシンジャーと周恩来首相会談の中身でもある。その上で、軍事目的に転用できる米ハイテク技術を中国に大量に売却し、その技術が北朝鮮にも相当、表裏から、そして台湾なども経由して流れていったとされる。

 大統領選挙最中の昨年6月、米国で摘発された遼寧省の丹東港を管轄する中国企業のボスについて、金王朝との関係やクリントン財団への迂回献金疑惑が報じられてもいる。米中朝が複雑に絡み合う関係は、この件にとどまらない。

 トランプ政権発足後の、〝口撃〟を含めた対北朝鮮政策は周知の通りだが、オバマ時代の「戦略的忍耐」の結果、米中関係が対等なG2のようになったが、それを上下関係に戻すためのデールとしても、米中の貿易不均衡の是正のためにも、北朝鮮問題があると考えられる。トランプ政権は、北朝鮮を国際金融システムから遮断し、核・ミサイル開発にかかわる資金洗浄を防ぐことを目的に今年6月、北朝鮮との取引でマネーロンダリング(資金洗浄)に関わったとして、丹東銀行をまず制裁対象に指定した。

 さらに、北朝鮮と取引・貿易関係のある第三国企業への制裁を発表。北朝鮮との貿易関係の強化に動くロシアも念頭にあるが、主な対象は、北朝鮮の貿易の9割近くを占める中国であることは明らかだ。

 そして、米中双方の思惑として、北朝鮮の核・ミサイル開発の阻止は当然ながら、他国(狂人的な独裁政権)への拡散を是が非でも防ぎたいはずだ。さらに、もう一つ、同床異夢とはいえ巨大な利権が複雑に絡む、クリントン政権時代から進んだ米国(左派)と中国(鄧小平時代からの人民解放軍系企業や工作員)との癒着をリセットしたい思惑もあるはずだ。

 だから、北朝鮮による6回目の核実験を受けての9月の国連安保理制裁にも、習政権は即座に「便乗」した。中国商務部(省)は、「制裁決議の採択日から120日以内に、北朝鮮の個人・団体が中国に設立した合弁企業や全額出資企業の閉鎖を命じる」「中国企業が北朝鮮の個人・団体と共に、中国以外で設立した合弁企業も閉鎖対象」との通達を出した。事実上、瀋陽軍区と密接な国内外の企業を潰す措置と言える。ちなみに、今年2月に商務部長(大臣)に赴任した鐘山も習一派(浙江閥)で、4月の訪米に同行したメンバーだ。

 さらに、中国銀行をはじめ大手国有銀行の北朝鮮籍の個人、企業による口座開設や送金、融資などの金融業務も「表向き」停止している。これは中国人民銀行(中央銀行)など、監督当局の意向に基づく措置とされる。「表向き」と書いた理由は、北朝鮮利権派にとっては「上に政策あれば下に対策あり」。

香港含む第三国・地域経由やシャドーバンキングの利用など、別のスキームはいくらでもある。措置を強めれば強めるほど、習政権と金王朝の関係は離れ、親北朝鮮派閥が世界で暗躍する可能性もある。裏経済が表かそれ以上に発達した独裁国家には、三権分立の民主国家の方法論は必ずしも通用しない。

 欧州連合(EU)も、北朝鮮に対してこれまでにない最高ランクの制裁を決めた。北朝鮮への投資や石油輸出の全面禁止の他、北朝鮮からの出稼ぎ労働者への就労許可の更新禁止や本国送金制限の強化などを盛り込んだ独自の追加制裁措置を採択した。ロシアも経済制裁を強める方針だ。

 一方の北朝鮮は、9月15日に中距離弾道ミサイルを試射して以来、巷では「次なる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験は朝鮮労働党創建記念日(10月10日)」「もしくは中国共産党大会開催日(10月18日)」「もしかしたら衆議院選挙の投開票日(10月22日)」などと噂してきたが、大方の予想を覆し〝大人しく〟していた。

 そして第二次習政権が発足し、日米、米韓、米中首脳会談が開かれた直後の11月16日、宋涛・対外連絡部長による訪朝のニュースが報じられた。2年ぶりの中国高官級の訪朝で、北朝鮮序列二位の崔龍海(チェ・リョンヘ)労働党中央委員会副委員長らと会談し習主席の親書を伝達したとされ、「関係改善のための第一歩」と報じられた。とはいえ、金正恩委員長との面談はなく、ほぼ空振りに終わった。

 その直後、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に再指定し、北朝鮮への制裁を「最高レベル」に引き上げる措置を取ることを決断した。これは事実上、習政権にとっての「敵」、江沢民派で北朝鮮利権を持つ人民解放軍系企業や工作員の処分を米国に委託している格好ともいえる。

 北朝鮮は2ヵ月半の沈黙を破った。11月29日、新型の大陸間弾道ミサイル「火星15」の発射実験を行い、成功したと報じたのだ。完成まであと数歩のところまで来ているとされる金王朝が、核・ミサイルを放棄するはずもなかった。

 習主席は11月9日、北京で行ったトランプ大統領の歓迎式典で、「中米関係は歴史的なスタート地点にある」「北朝鮮問題などで協力を強化し、中米関係をさらに発展させたい」などと述べた。だが、狐と狸の化かし合いに〝勝者〟はいるのだろうか?






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