文在寅氏、危うい「南北主導」 非核化対話展望なく – 日本経済新聞

Home » 韓国 » 在日 » 文在寅氏、危うい「南北主導」 非核化対話展望なく – 日本経済新聞
在日, 韓国 コメントはまだありません



 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で、北朝鮮の平昌冬季五輪への参加表明を「南北関係改善と朝鮮半島平和の転機にする」と強調した。しかし、北朝鮮が韓国の「非核化対話」提案に応じる気配はない。核問題解決に取り組むと繰り返し訴えた発言からは、「南北接近が包囲網の抜け穴になりかねない」という国際社会の懸念を意識している様子がにじむ。

文在寅大統領は10日の年頭記者会見で「南北首脳会談に応じる用意がある」と明言した=AP

文在寅大統領は10日の年頭記者会見で「南北首脳会談に応じる用意がある」と明言した=AP

 「私の任期中に北朝鮮の核問題を解決することが目標だ」

 「朝鮮半島の非核化は、決して譲れない韓国の基本的な立場だ」

 文氏は記者会見で、何度も「非核化」に言及した。そこには9日の南北閣僚級会談で、文氏の悲願だった北朝鮮の五輪参加で合意したという高揚感は感じられなかった。

 文氏は南北会談を「これからが始まりだ」と評価したものの、あまり成果を強調しなかったのは、南北会談が「北朝鮮のペースで進んだ」という国内外の批判があったためとみられる。

 韓国は「五輪参加」という果実を得たものの、国際社会が注目する非核化要求では「ゼロ回答」だった。北朝鮮にとって核問題を議論する相手は韓国でなく、米国しかいない。実際に北朝鮮の代表団に核問題を議論できるメンバーはおらず、首席代表の李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員会委員長は「北南とは関係のない問題だ」と切って捨てた。

 それだけではない。会談の終了後に発表した共同報道文には「南北関係に関するすべての問題は、わが民族が当事者として対話と協議で解決する」という項目が入った。日米など関係国からしてみれば、北朝鮮の「我々に干渉するな」というメッセージに韓国が乗ったとしか受け取れない表現だ。

 さっそく日米両政府からは、北朝鮮の五輪参加を通じた南北協議が、制裁包囲網の抜け穴を生むのでは、との指摘が相次いだ。さらに、韓国内にも懸念の声は広がった。

 中道系野党「国民の党」は9日、「北朝鮮の核・ミサイル問題で根本的な変化がないなか、過度な期待は禁物だ」とくぎを刺した。特に「『わが民族が当事者として』という表現は(米韓を分断し)韓米同盟の根幹を揺るがす恐れがある」と指摘した。

 保守系野党の自由韓国党も「北朝鮮が全世界に核保有をアピールする場として南北会談が利用された」と批判した。

 北朝鮮が核放棄しないと明言する状況で、対話によって非核化が進展する可能性はほとんどない。それどころか、北朝鮮が核・ミサイルを実戦配備するまでの時間稼ぎに使われるだけ、という見方も根強い。

 文氏は記者会見で、トランプ米大統領を「南北対話の実現に果たした功績は非常に大きかった」と持ち上げた。同時に「韓国は国際社会と制裁で歩調を合わせる」と改めて表明した。

 くわえて、稼働を中断している開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光事業の再開に関しても「国連安保理の制裁の枠組みで判断せざるを得ない」と述べ、「韓国が独自に制裁を緩和する考えはない」と言い切った。

 文氏は「南北関係改善と核問題解決は切り離せない」と力説し、南北主導で核問題を解決する意気込みを示してみせた。しかし、9日の南北会談の結果は、その道が困難であることを示している。






コメントを残す