世界遺産、中国の要塞住宅「福建土楼」 – ナショナル ジオグラフィック日本版

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【動画】ナショナル ジオグラフィックの写真家マイケル・ヤマシタ氏が福建土楼の全景を空撮。それぞれの土楼にはかつて、最大800人が入居していた。多くの場合、1つの土楼に一族で暮らしている。(解説は英語です)

 中国南東部、福建省。亜熱帯の山々に囲まれた地域に、土壁で要塞化された巨大な木造の家が立ち並ぶ。15〜20世紀に建設されたこれらの共同住宅は風水で位置が決められ、茶畑やタバコ畑、水田、松林や竹林の真ん中に建てられた。

 全部で46あるこれらの建物群は「福建土楼(ふっけんどろう、フーチェントゥロウ)」として知られる。昔から、居住者の多くは、黄河流域から南下してきた客家(はっか)と呼ばれる移民だ。移民が増えるに伴い近隣住民と対立するようになったため、客家の人々は要塞を兼ねる家を建設した。

 壁は最大で厚さ約1.5メートル、高さ20メートル弱に達する。鉄で補強された門、避難用の地下トンネル、暗い瓦屋根の下に開けられた狭間、井戸、長期戦にも耐えられる穀物や家畜の備蓄など、要塞としての機能を満載している。主に3〜4階建ての建物は対称に設計されているため、死角なく戦うことができる。(参考記事:「カッパドキアに新たな地下都市、過去最大と推定」

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「土楼」という名前こそ付いているが、建材は土だけではない。建物の基礎部分には、地元の川で集めた石が敷き詰められ、壁は水田に堆積した粒の細かい土で作られている。土には砂と石灰が混ぜられ、竹の棒で補強し、粘着性の高いコメを使って押し固めてある。

 形は似ているが、それぞれの土楼が独自の特徴を持つ。1308年に建てられた「裕昌楼」は最も古く高い土楼で、柱が最大15度傾いていることで知られる。「和貴楼」は長方形の土楼の中で一番大きく、面積は約3000平方メートルに及ぶ。最大の土楼は「承啓楼」で、約400の部屋がある。(参考記事:「パリの忘れられたユートピア」

 基本的に、すべての土楼が自給自足の村として機能する。一般公開されているが、現在も居住者がおり、多くの場合、一族で暮らしている。ここで重視されているのは、対等な共同生活だ。どの部屋も設計はまったく同じであり、全方向を壁に囲まれていることで、社会的交流が促進される。家族ごとに独立した居住空間を持っているが、祖先崇拝や婚礼などの儀式があるときには、住民は中庭に集まる。(参考記事:「森の教えにしたがい暮らす、小さな生活共同体 写真14点」

 近隣都市の経済が発展した影響により、この25年間で、土楼の居住者は大幅に減少している。かつては何千もの人々が土楼に暮らしていたが、現在、永住者は数十人しかいない。そのほとんどが高齢者だ。2008年、46の土楼(一帯には、もっと多くの土楼が点在している)がユネスコの世界遺産に登録された。その結果、多くの観光客が訪れるようになり、建物が無秩序状態に陥るのを防ぐばかりか、地域の経済を活性化させ、土楼が現役の実用的な遺産であり続けることが可能となった。(参考記事:「ペトラ遺跡に住み続ける73歳の男、移住を拒否」

福建土楼は中国南東部の亜熱帯の山々に囲まれている。(PHOTOGRAPH BY KEREN SU, GETTY IMAGES)

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福建土楼への行き方

 福建土楼は福建省の漳州市南靖県から龍岩市永定区にかけて点在する建造物群。最も近い都市は廈門市で、そこからバスか列車に乗るのが一般的だ。バスの場合、永定区湖坑鎮への直行便がある。最寄りの鉄道駅は永定駅で、土楼行きのミニバスが出ている。(参考記事:「2010年世界遺産:中国丹霞」

土楼を訪れる方法

 多くの場合、観光客は半日で土楼を回ることができる。有名な土楼の中にはホームステイのオプションを用意しているところもあり、土楼に滞在しながら、客家の料理を楽しむことができる。

訪問に適した時期

 福建省は気温の変化が緩やかなため、1年を通じて訪問できる。3〜8月は雨期で、夏の後半には台風が上陸することが多い。9〜12月は乾期で、一般的には最も訪問に適している。

文=Clarissa Wei/訳=米井香織






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