アングル:小口融資裏付けの中国ABS市場、今年は拡大鈍化か – ロイター

Home » 中国 » アングル:小口融資裏付けの中国ABS市場、今年は拡大鈍化か – ロイター
中国 コメントはまだありません



[北京 5日 ロイター] – 中国では消費者ローンの証券化が花盛りで、オンラインの小口融資を手掛ける金融会社が資産担保証券(ABS)を発行し、機関投資家から多額の資金を調達している。

 1月5日、中国では消費者ローンの証券化が花盛りで、オンラインの小口融資を手掛ける金融会社が資産担保証券(ABS)を発行し、機関投資家から多額の資金を調達している。写真は、アリババ傘下アント・ファイナンシャルのマスコット。浙江省で2016年9月撮影(2018年 ロイター/John Ruwitch)

しかしこうした金融会社は高水準の負債を抱え、情報開示も不十分だとして当局が監視を強めており、今年は市場の拡大ペースが鈍りそうだ。

小口融資を裏付けとするABSの発行体の多くはインターネットやハイテク関連企業の金融子会社。最大手はアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)傘下のアント・ファイナンシャル・サービシズ・グループで、電子商取引(eコマース)大手の京東商城(JDドットコム)(JD.O)やインターネット検索大手の百度(バイドゥ)(BIDU.O)の金融子会社などもこの手法で資金を調達している。

消費者ローンを裏付けとするABSの発行残高は過去2年間で35倍に急増。中国資産証券化分析網によると、2016年の発行高は989億元だったが、昨年は約4894億元(753億6000万ドル)となった。

金融会社は証券化によって融資をバランスシートから除外することが認められており、自己資本に対する貸出の比率を定めた政府の規制をすり抜けることができる。

金融規制当局は12月1日にオンライン小口金融を取り締まる新たな規制を通達。ゴールデン・クレジット・レーティング・インターナショナルでストラクチャードファイナンス部門のゼネラルマネジャーを務めるGuo Yonggang氏によると、国内の取引所と銀行間市場取引者協会(NAFMII)はオンライン小口金融会社による消費者ローンを裏付けとする証券の発行を差し止めている。

NAFMIIは先週、人民銀行(中央銀行)の透明性規則改正を受けて、消費者ローンを裏付けとする証券の情報開示要件も厳格化した。

ロイターの試算では、昨年は小口融資を裏付けとするABSの発行全体の60%を最大手のアント・ファイナンシャルが占めた。興業銀行(601166.SS)傘下のCIBリサーチによると、重慶に拠点を置くアント傘下の小口融資企業2社の純資本は計106億元だが、昨年6月末時点の融資残高は2651億元に達していた。両社の小口融資ABSの発行残高は2500億元を超えている。

CIBは12月のリポートで、両社は資本に対する貸出総額比率が重慶の規制当局が定めた2.3倍という基準をはるかに上回っていると指摘した。

関係筋2人の話では、アント・ファイナンシャルは規制強化を受けて、予定していた数十億ドル規模のABS発行計画を密かに中止した。このうちの1人は、人民銀行の当局者がアント・ファイナンシャルと会談して消費者ローン事業での負債の多さについて協議しており、アント・ファイナンシャルが借り入れを減らすまで人民銀は新規のABS発行を認めない可能性があると打ち明けた。

小口融資企業と国内ABS市場の歴史が浅いことは、格付け会社と投資家がリスクを見極める際に大きな障害となっている。

中誠信国際信用評級のシニアアナリストのZheng Kaiwen氏は「われわれがデータの分析に使っている理論や設定値は、実体からある程度ずれが生じてもおかしくない」と認めた。

中誠信国際信用評級によると、消費者ローンを裏付けとする証券化商品で債務不履行が起きたことはない。ただゴールデン・クレジット・レーティングのGuo氏は、格付けデータが不完全なのに消費者ローン市場は急拡大しており、債務不履行の確率は実際よりも低く見積もられていると懸念する。

小口融資ABSは「市場外」の相対取引が多いとされ、政府が縛りをかけようとしても実行するのは難しいだろう。いくつかの格付け会社や融資企業は、情報が限られているためそうした相対取引の全体的な規模は正確に把握できないとこぼした。

Guo氏は、小口融資ABSを相対取引で売り出す道を選択している一部の融資会社は、業務運営面の質が低い半面、事業展開は積極的でなおかつリスク管理も徹底していないと分析した上で、ABSの取引情報が十分に開示されていないことから、問題のある債権で裏付けされる事態にもなりかねないと警戒感を示した。

(Shu Zhang記者、Elias Glenn記者)






コメントを残す