元本確保が当たり前だった中国の理財商品に変化の大波=大和総研 – サーチナ

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シャドーバンキング, 中国 コメントはまだありません



 中国の資産運用商品に関する新しい規制が動き始めた。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は1月29日に「理財商品の元本割れは急増するのか?」と題したレポート(全1ページ)を発表し、2019年7月施行が予定される理財商品等への「剛性兌付」(確実償還)と「資金プール運用」を明確に禁止した新規制に備えて、中国で起こり得る金融経済の変化に注意を呼びかけた。レポートの要旨は以下の通り。

 

 中国のシャドーバンキング(影の銀行)は様々なリスクを抱えている。例えば、企業債の発行主体は、国有企業や地方政府融資平台が中心であり、政府の暗黙の保証が付与されているとの思惑が、発行体と投資家のモラルハザードを生んでいる。同様のモラルハザードは、資産運用商品にも蔓延している。中国では基準価格が開示されるファンド等以外では、元本割れは稀である。これを「剛性兌付」(確実償還)といい、「理財商品」がその代表例である。「剛性兌付」を可能にしているのが、資産運用商品の資金プール運用であり、それでも損失が出そうな場合は地方政府や金融機関が補てんすることがある。資金プール運用では、複数の資産運用商品がどんぶり勘定で一括管理され、一つ一つの商品の収益とリスクが全くの不明瞭となる。資産運用商品の期限は短期のものが多く、運用は長期債権や中長期の企業債等で行われるため、資金プールを利用して期限の到来した商品から順次償還することが行われる。仮に一部の資産が毀損していたとしても、資金が流入し続ける限り問題は生じないが、何らかの理由で資産運用商品への資金流入が困難になると、元本割れとなるケースが増大するリスクを抱えている。

 

 こうした中、2017年11月に、中国人民銀行、銀行業監督管理委員会、証券監督管理委員会、保険監督管理委員会、国家外貨管理局は、「金融機関の資産運用業務の規範化に関する指導意見(意見聴取版)」(以下、「指導意見」)を発表した。「指導意見」は「剛性兌付」と「資金プール運用」を明確に禁止したほか、資産運用商品を予想収益型から基準価格型へ移行し、基準価格管理を行うことを求めている。従来の主流派である予想収益型では、金融機関は予想収益率を上回った部分を管理費や仲介業務収入として受け取っていたが、今後、投資収益・損失は全て投資家に帰するとし、損失補てんを行った金融機関は処罰される。

 

 「指導意見」は意見聴取版であり、必要な修正後に正式に発表される。施行は2019年7月1日が予定されており、それまでは過渡期として、既存の資産運用商品が期限を迎えるのを待ちつつ、新規に発行される資産運用商品は「指導意見」に則ったものになっていくことになろう。

 

 周小川・人民銀行総裁は2017年10月の第19回党大会後に、今後一定期間はリスクが発生しやすい時期だとの認識を示し、マクロレバレッジの高さ、ミクロレベルの銀行不良債権の増加、債券市場でのデフォルトの増加、シャドーバンキングの急膨張、違法行為の増加、などのリスクを指摘した。「指導意見」には資産運用商品の健全化と監督管理強化を通じて、金融リスクの発生を防ごうとの意図があろう。

 

 しかし、「指導意見」が厳密に適用され、特に資金プール運用が禁止されると、元本割れが急増する可能性がある。この場合は投資資金の連鎖的な引き上げにより、企業やプロジェクトが資金調達難に陥り、資金繰りの悪化から企業倒産が増加する可能性もある。金融システムは不安定化し、突発的な流動性リスクの発生、さらにはシステミックリスク発生の懸念さえ台頭しかねない状況となろう。

 

 当然、中国政府はこうした状況を傍観するはずはない。現実的には、2019年6月末までの過渡期を金融機関と投資家の徹底的な啓発のために十分に活用し、監督・管理の強化を段階的に進め、資産運用商品のリスクを徐々に低下させていくことになろう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)






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