<コラム>中国・蘇州の「蘇」には、生命力の強い“草”と“魚”と“稲”が意味されている

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江蘇省「蘇州」は紀元前11世紀、周王族「泰伯と仲雍」兄弟が江南に下り勾呉国を作ったことにさかのぼる。その後、春秋戦国時代に泰伯の子孫にあたる呉王「闔閭」が伍子胥に命じて姑蘇の地に水陸8門・周囲47里の大城を造営したのが、紀元前514年になる。秦・漢の時代は会稽郡呉県となり、隋開皇9年(西暦589年)に「蘇州」と名付けられた。唐代には長洲県も増設し、長洲ともいわれた。城内は10万戸を数え、江南で唯一「雄州」ともいわれた。

五代十国時代呉越王「銭鏐」は蘇州城を改造し、高さ9メートルのレンガ造りとした。宋代は「上有天堂、下有蘇杭」といわれるほど繁栄を極め、景祐2年(西暦1035年)には範仲淹が府学をつくり「天下之学、自呉始也」と天下一の学府となり、平江府に昇格した。紹定2年(西暦1229年)に世界初の城郭都市の平江図(石碑)が完成、元代に平江路となった。明・清時代、蘇州府となり商工業が「日出万匹、衣被天下」と発展した。光緒21年(西暦1894年)には蘇州商務局が作られ、海外との通商貿易を担った。民国時代1912年に呉県・長洲県・元和県が統合して呉県となり、1928年に蘇州市と改名、その後1930年に再度呉県となったが、中華人民共和国成立後1949年に「蘇州市」となった。

(写真1)は、蘇の字の古代漢字である。草冠の下にあるのは、“魚”と“米”であることがすぐに理解できる。“草”は植物の総称であり、地があれば必ず草を成す。草はいかなる環境にあってもその生命力は強固で、冬の寒さ雪の中でも生き延び、春になると緑色の大草原が生まれる。“魚”は水中の動物であり、水郷地帯の江南地方では河・湖に多く見られ、食用としても有効に利用される。太湖の白魚など蘇州名物が多い。魚の右にある“ノ”と下の“木”からなる“禾”は一般には稲の苗である。春に植えた苗は秋になると収穫の時期になり、米・黍(黄米)・高粱・豆類などになる。「蘇」とは緑の地であり、魚と米の水郷地帯であることが、漢字を見るだけで読み取れる。

州は、中国の行政管理区分を示したもので、古代全国を12州に分けたことから、州はその地方を意味するものである。清王朝時代は八府・三州・六十八州県と分けた。今では当たり前のように言う「蘇州」であるが、勾呉から始まり、色々な名称で呼ばれた経緯があるのだ。

呉:泰伯が、無錫市東南30キロメートルの梅里に最初の都を置いた。21代孫に当たる「光:のちの呉王闔閭」は「呉」と称し、又の名を「闔閭城」とも言った。会稽:戦国時代は秦の始皇帝で終わるが紀元前222年、秦は江南を平定し会稽郡を置いた。呉県:会稽郡を置くと同時に呉県を置いた。泰徳:漢代王莽が新国を作った(西暦9年)。その時呉県は泰徳県と改名したが、王莽亡き後、呉県に復帰した。呉郡:漢永建4年(西暦129年)、会稽郡の東北地を呉郡とした。呉州:南北朝陳禎明元年(西暦587年)、呉州を置いた。蘇州:隋開皇9年(西暦589年)蘇州と改名、この後蘇州が使われるようになった。長洲:唐則天武后の時に。呉県の地に長洲県を置く。唐白居易の漢詩に「長洲苑外柳万条」、杜牧の漢詩にも「長洲苑外草蕭蕭」とある。中呉:唐同光二年(西暦924年)、東呉・中呉・西呉の3つに分離、蘇州は中呉に属す。平江:宋政和3年(西暦1113年)、江南の地を平定したと言う意味で、平江府となる。紹定2年(西暦1229年)蘇州市地図「平江図」が完成、元代には平江路総管府平江路となる。隆平:元至正6年(西暦1356年)、農民義勇軍首領「張士誠」が蘇州を占領、隆平府と称するが1年で終わる。

これら以外に、その時の状況に合わせ次のようにも言われた。呉中:秦末期、項羽が挙兵した時、挙呉中兵と記載されている。姑蘇:蘇州城の東南部にある山が姑蘇山であるが、呉王闔閭は姑蘇台を作り、その息子夫差は宮殿を造った。唐代詩人杜荀鶴は、送人遊呉の中に“君至姑蘇見、人家尽枕河”と書いている。あと呉がつく名称が当然ながら非常に多い。「呉門」「呉城」「呉都」「呉苑」「呉市」「呉下」「呉ショウ(ショウ=門構えに昌)」「呉趨」などである。蘇州は多くの名前の変遷がある。

■筆者プロフィール:工藤和直
1953年、宮崎市生まれ。韓国で電子技術を教えていたことが認められ、2001年2月、韓国電子産業振興会より電子産業大賞受賞。2004年1月より中国江蘇省蘇州市で蘇州住電装有限公司董事総経理として新会社を立上げ、2008年からは住友電装株式会社執行役員兼務。蘇州日商倶楽部(商工会)会長として、日中友好にも貢献してきた。






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