火災現場の原因を読む力を学ぼう – リスク対策.com

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DFES After the Fire – Fire Investigation Walk Through (出典:Youtube)

近年、世界の先進国における消防は、火災出動件数に減少により火災原因調査の機会も減っている。

アメリカでは全ての消防士達に、「現場活動において、人命救助・財産の保護はもちろん大切だが、消火活動を行いながらも火災原因調査を考慮しつつ、現場を読む力、焼け跡や燃料臭によるエビデンスに基づく想像力、そして、勘を有効に働かせることが重要」と消防学校で教えている。

下記のビデオでは、1つの火災事例を元に一般住宅火災における火災原因調査のポイントを教えており、消火活動中の消防士はできる限りの現場保存を行うため、何に気をつけて消火活動を行うのかなどを指摘している。


DFES After the Fire – Fire Investigation Walk Through(出典:Youtube)

火災原因調査の定義として「火災現場の焼け跡に残る、家具等の可燃物の個々の燃焼特性や燃焼箇所・状況から、火炎の方向や燃焼速度など、その起因を導き出し、燃焼カ所、出火カ所、発火部、出火原因というような順序で燃焼経路を追跡し、発火源を特定。何が原因で火災に至ったかを解明すること」としている。


How First Responder’s Impact The Fire Investigation(出典:Youtube)

上記のビデオでは、先着隊の放火、失火を含めた、火災原因調査に結びつく、情報収集のチェックポイントを数限りなく教えてくれる。例えば以下のようなポイントだ。

「同程度の火煙が数カ所から発生していた」

「勝手口が空いていて、丸めた新聞紙が焦げた状態で落ちていた」

「裏庭の窓の下に灯油缶が転がっていた」

「フロアカーペットの燃え後が道状になっていた」

「天井から電線が垂れ落ちていた」

「1階の窓が内側から割られていた」

「家人が出かけているのに玄関ドアが大きく開いていた」

「スライディングドアの鍵部分のみガラスが割れていた」

「勝手口から外に向かって血液のようなものが点線状に落ちていた」

「袖の焦げた人物とすれ違った」

「屋内侵入時、ガラスや花瓶などが散乱し、争ったようなあとがあった」

「ほとんどの引き出しが開いている状態で、物色した形跡があった」


 


これらのビデオは火災原因調査を行ったことのない消防士や、異動で火災調査班になったばかりの消防士向けに、火災原因調査の基本的な知識とテクニックを勉強するきっかけとして作成されているため、丁寧で分かりやすい。消防だけでなく、警察の火災原因調査担当者にとっても参考になると思う。

先日、下記の記事を書かせていただいた後、退職された警察関係者からの御指摘で、日本でも「火災事件捜査における消防機関との協力について」の通達が出ており、政令指定都市によっては、消防と警察合同の火災原因調査勉強会などを企画していることを知った。また、勉強会の後の懇親会などで、事前に顔見知りになっていれば、警察とも連携を取りやすい。

■米国における火災原因調査の多業種コラボ研修について

警察、消防、住宅メーカー、保険会社、大学などが参加
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5491

米国では消防の火災調査班は指揮隊と一緒に行動することが多いが、指揮隊にはあらゆる現場情報が一斉に集まるため、火災の一部始終を把握しやすいという理由がある。

警察の火災原因調査は実況見分・検証など、捜査の実施により火災事案等の原因究明及び責任追及を行うもので、現場情報の共有部分は多いが、消防とは少し目的が異なる。

■火災事件捜査における消防機関との協力について(警察庁)
https://www.npa.go.jp/pdc/notification/keiji/souichi/souichi20150601.pdf

■火災原因調査における警察機関との協力について(総務省消防庁)
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h27/06/270601_yo208.pdf

日本の元警察関係者によると、今後も減り続ける火災に対し、警察と消防の火災原因調査の合同訓練を行うなどして、変わりゆく建物の内装や構造、また、化学物質や未知の薬品や液体など、安全な調査技術や知識の向上を図る必要があるという意見を現場捜査員から良く耳にするとのこと。

そもそも警察も消防も、火災原因調査の目的は、出火原因を迅速かつ的確に究明し、「放火」「失火」・「自然発火」のいずれかを明らかにすることだ。そして、火災原因調査結果に基づいて責任の所在を明らかにする事に変わりはない。

どちらかが歩み寄って、火災調査合同研究会などが実現できると、双方にとっても現場での調査活動がスムーズ、かつ実務に必要な情報収集も精度の高いものになっていくと思う。

火災原因調査の7つの基本用語

・火…物質が熱と光を含む急速な酸化を受けたときに生成される現象。

・火の三角形…火を作り、維持するために必要な3要素(熱・燃料・酸素)。

・引火点(Flash Point/フラッシュポイント)…可燃性物質(主として液体)が火炎または発火源にさらされたとき瞬間的に引火(燃焼)するのに必要な濃度の蒸気を放出(揮発)するために物質を加熱しなければならない最低温度。

・出火点(Point of Origin)…火災が発生した場所。

・延焼パターン…出火した場所から火災が広がっていくパターン。

・燃焼促進物質…ガソリン、シンナー、アルコールなどの燃焼プロセスを促進する物質。

・放火…他人の財産または保険金目的で自分の財産に対して、故意または悪意をもって建造物や自然保護区等に火を放つ犯罪。

火災原因調査員、先着隊の消防士、すべての現場活動隊員が知っておくべき、または、行うべき10項目。

1、燃焼の三原則:火=燃料+熱+酸素を眼で確認すること。

・燃料は、固体、液体、または気体のいずれかの状態の可燃性物質(主に衣類、カーテン、家具、可燃性の液体)である。大部分の固体および液体は、燃焼する前に蒸気または気体になる。

・私たちが呼吸する空気の約21%は酸素。火災は少なくとも16%の酸素を含む空気が必要。

・熱は、燃料の温度を点火のために十分な蒸気が放出されるまで、上昇させるのに必要なエネルギーである。   

2、出火点特定の手がかりを知ること。

・出火点:火傷のパターンやその他の損傷は、火災が始まった場所を特定するのに役立つ。

・焦げ跡の向き:高温の火炎によって、急激に燃焼し、延焼方向に沿って燃えが速く移動するので、燃えているものとないものの間に鋭い線ができる。

・ドア上の焦げ跡:調査員がドアのどの側面に火が入っているかを判断するのに役立つ。

・フロア上の焦げ跡:研究者が加速器とその経路の使用を判断するのに役立つ。

・Vパターンの焦げ跡:火は、V字型のパターンで燃焼する。そのため、壁のコンセントで始まる火災は、出火点を指す文字パターンを残す。

・非常に狭いV字型の焦げ跡:燃焼スピードを速めた、または、燃焼物質の特性に助けられたものなど、通常よりも激しい火災を示す可能性がある。

・幅の広いV字型の焦げ跡 :ゆっくりと燃え広がった火災を示す可能性がある。

・U字型の焦げ跡:ピンポイントな出火点ではなく、たとえばガソリンの水たまりによって引き起こされるような、「出火源となったもの」があったことを示すことができる。

・ヒート・シャドウ(燃焼影):重い家具が壁の一部を覆うときに発生します。出火点や方向を決定する際に役立つ。

・ガラス:ガラスの破片、窓、電球は、火災の手掛かりとなる。

・電球は熱源に向かって溶融する傾向があるので、「溶融の方向」は火の方向を示すことができる。

・窓の粉砕されたか割れたガラスは、火が燃えた様子を示すことができる。

・ガラス上の暗い煤煙層は、ゆっくりとくすぶる火を示すことができる。

・異常な亀裂のパターンを有する透明ガラスは、おそらくは促進剤のために、非常に熱い火を暗示することができる。

・煙突の効果:火は上向きに燃焼するので、ある場所で火が点火する「煙突効果」がある。

・過熱されたガスは上向きに火の玉になり、天井の穴を燃やすために真っ直ぐに続く。

・屋根が完全に焼かれず、火災の調査員がそのような穴を見つけた場合は、火の起源はそのすぐ下にある可能性がある。

・煙の色:どの種類の物質が燃焼しているかを判断する。

・炎の色: 化学物質や金属の種類、燃焼温度を示す。

3、火災原因調査の基本的な手順

・最も被害が少ない部屋やエリアから最も被害の大きかった場所までをノート、写真、ビデオを含むドキュメントに記録しながら、調査する。

・証拠(燃焼速度、火災アイテム、その他の犯罪現場の証拠)を収集する。

・家主、住居人、目撃者など、物的証拠関係者等の行動も含めた人的検証を行う。

・出火点は、焼け跡から発火源として出火した事実を物的&状況的証拠によって証明し、エビデンスを元に決定する。

・熱源は、火災特性をよく把握し、客観的な視点で観察し、決定する。

・調査員、捜査員等、関係者の行った調査結果から、火災の理由を説明し、理論的に判断し解明する。

4、先着隊に知って欲しい放火か否かの判断チェックポイント

<出火原因の主なもの>

たばこ(喫煙道具含む)

火遊び

ライター

花火

電気設備機器(暖房ストーブ、電熱器等)

ガス設備機器(ガスコンロ、湯沸かし器等)

石油設備機器(ストーブ、発電機、バイク等)

5、放火と疑われるモノ

臭気 – ガス、灯油、その他の燃焼促進剤や助燃剤

家具 – 個人物品および貴重品の不審な移動や引き出しの開放

衣服 – ボタン、ジッパーなどの残骸の散乱

施錠された窓、閉鎖されたドア、割れている開口部

普段閉鎖状態のダクトやパイプの変形など2つ以上の出火点

倒立したVパターン

一部の床が極端に黒くなっている – 燃焼促進剤の使用を示す

6、放火の罰則

■放火及び失火の罪
https://ja.wikipedia.org/wiki/放火及び失火の罪

7、放火の動機

・犯罪隠蔽:殺人、窃盗、車などの別の犯罪を隠すこと。

・復讐または敵意:感知された不正のために誰かに戻る。

・金銭的利益:火事損害は、火災から利益を得るために建物、車両、またはその他の物まで、できるだけ多くのものを全焼させるように設定されている。

・火災保険:保険適用範囲等から、火災保険による利益以外にもいくつかの形で利益を得られるよう準備しているかもしれない。

・悪意のある行為:誰かの財産に火をつけて破壊することを楽しむ。悪意のある破壊行為の火災は、放火件数の大きな割合を占めている。放火犯罪は少年か、若い男性によるものが多い。

・精神的に障がいのある人:火災を引き起こすことで興奮したり、喜びを感じるような衝動がある人もいる。

8、放火する可能性のある疑わしい人や活動を報告させる。

世界的に放火犯は再犯を繰り返すことが知られているため、現場情報収集時、過去に放火事件を起こした、または、SNSやブログなどで、放火事件を起こす予定等と書き込んでいる友人や同級生がいる場合は、近くの大人、親、教師、カウンセラー、警察官、または、消防士から、その地域で、過去に起こった放火事件を聞き出す。

9、放火予防への自警活動

放火事件が相次ぎ、特定地域や放火する対象に共通するものが在る場合は、放火のタイミングや特徴を予測し、自警活動を行っている消防団や警察、自治会の方々に見回りのチェックポイントを作成するなど、アドバイスを行う。

10、住宅火災警報器を設置促進

設置義務のある住宅火災警報器の作動状況を適切に維持し、もし、設置していない友人や親戚が居れば早急に設置するように勧める。また、個人の家も、密集地域に建つ家々も、火災避難計画も作り、実際に避難するなどして訓練を行うようアドバイスする。公共の監視カメラに映った火災初期の映像、自宅のセキュリティーカメラの映像もエビデンスになる。


火災原因調査実務は対象物によって、未知の世界を知る奥深さもあり、勉強すればするほど、非常に興味深い仕事である。

火災に至った科学的な根拠を追求するばかりでなく、怨恨や悪戯などの精神的な衝動などによる放火などから、犯罪心理も勉強する機会にもなり、その経験は今後テロ対策などにも生かされるかもしれない。

以下、オンライン上で公表されている非常に参考になる火災調査関係資料がありましたので紹介する。

■火災調査実務マニュアル(船橋市消防局)
http://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/jouhoukoukai/005/p043162_d/fil/chousamanyuaru.pdf

■火災原因調査マニュアル(英語)(ENFSI/欧州法医学研究所)
http://enfsi.eu/wp-content/uploads/2017/06/ENFSI-BPM-FEI-001-002.pdf

それでは、また。

(了)


一般社団法人 日本防災教育訓練センター
https://irescue.jp
info@irescue.jp






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